これまで読んだ本やこれから読みたい本などなど
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それでもボクはやってない

周防正行監督の社会派ストーリーの映画。
本作のような所謂社会派と言われる作品は、映画そのものの出来と映画のテーマに関する感想とが混ざった評論が多くなる。

本作で言えば、出演者の演技が良いとか悪いとか、演出やカメラワークが良いとか悪いとかいうことと、日本の司法制度の在り方についての意見が混ざり合ってしまうというようなことだ。

しかし、こと社会派に分類される映画の存在意義を考えるならば、それは『作者(監督)の考える社会における問題点を大衆に周知する』ことであり、映画そのものの評価はどうあれ大衆の議論の俎上に乗せることに成功したのであれば、映画としての目的は達しているのかもしれない。
(勿論、プロパガンダに使われることの懸念は常に考えなければならないけれども)

テーマは痴漢冤罪事件を例とした、現代日本の警察、検察と司法の不条理である。

映画そのものの描き方は非常に淡々と事件の発生から一審裁判が終了するまでを綴っている。

登場人物の心情をあまり直接的に表現しないのは、ただ事実を伝えているという感覚を視聴者に持たせたかったのだろう。
内容については、見る人によって思うところは大きく違うはずだ。

男性か女性か、行政や司法に近いか遠いかなど、こういった問題については立場によって大きなバイアスが掛かると思う。(当然犯罪の被害に遭われた方々も感じるところは違うはずだ)

つまり、『自分の立場を脅かすもの』が悪であるという言わば本能に従うものだ。
そのような場合に陥りがちなのは、根本的な問題よりも自分に直接的に関わると思われる事柄についてのみ考えてしまうことだ。

例えば、
冤罪は悪い
冤罪を起こすのは行政や司法だ
よって行政や司法、つまり警察や検察や司法が悪い
というような判断だ。

何故冤罪は起こるのか?
冤罪が起こる裏には数多くの捕まっていない犯罪者もいるのだ。

犯罪者が最も悪いのは当たり前過ぎることであるし、被害者がいるからといって更に冤罪の被害者を作ることは許されることではない。

この世に人の作った法というものができて以来の命題なのかもしれないが、不完全で利己的な『人間』というものが、同じ人間を裁くことの限界を感じてしまうところではある。

重要な事で、多くの人に見てもらいたいものであるが、これは少なくともエンターテイメントではない。

昨今、日本においても人権について考えざるを得ない事件や報道が増えているが、こういった問題は例えただ一つの答えが出ないものだとしても考え続けなければならない、人間社会が背負った宿命だと思う。


それでもボクはやってない(了)


それでもボクはやってない スタンダード・エディション
それでもボクはやってない スタンダード・エディション
監督:周防正行


それでもボクはやってない スペシャル・エディション(2枚組)
それでもボクはやってない スペシャル・エディション(2枚組)
監督:周防正行


それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!
それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!
著:周防 正行



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職業というものは、その本当の内容ではなくイメージで判断されがちなものだ。
その職業に就いたことがない人間がその本当の姿を知ることはないため、当たり前と言えば当たり前なのだけれども。

世の中にコンサルタントと言われる人は数多いるだろう。

consult : 動詞 : 専門家に意見を聞く、助言を求める、相談する、協議する…

コンサルタントとは一体何をする人なのだろうか?


本書はIT戦略に基づくシステムデリバリーのプロジェクト遂行を主題として、システムエンジニアの方々がコンサルタントにキャリアアップするための事前の心構えや身に付けるべき作法を説くものである。

システムエンジニアからコンサルタントへの転身が真のキャリアアップであるかは異論があるところかもしれないが、業務としてのカバー範囲の違いで、所謂『上流行程』を責任範囲とすることから企業のエグゼクティブと接する機会の多いコンサルタントをキャリアパス上で上位に置くことが多いということで、キャリアアップとして考えることとしよう。

本書の著者はコンサルティングの実務者として極めて優秀であろうということは、難解な説明ではなく、平易な『きちんと伝わる言葉』でITコンサルティングとは誰に何をどうやって提供する仕事であるかを説明していることから読み取れる。

コンサルタントとしてのキャリアをプログラマーから始めたと述べられているように、SEとしての仕事も経験し、また恐らくは幸運にもSEとしての仕事の本質を理解することのできるプロジェクトを経験し、それを理解する素質を持たれていたのであろう。


本書の噛み砕いた丁寧な説明を読み下せば、本稿の最初に述べた『コンサルタントとは一体何をする人なのだろうか?』という疑問の答えがある程度見えるはずだ。

特に本書が対象としている現役SEの方々は、きっと『それが自分の目指しているものだろうか?』『自分が持っていたイメージと合っているだろうか?』『今の自分がコンサルタントになるためには何が足りないのだろうか?』という疑問の回答が見えてくるだろう。


何より『自分はコンサルタントとして闘えるだろうか?』という疑問に回答が見えるのではないだろうか。
そして、その答えに従って一歩を進み出すことができるだろう。

自らのキャリアに上昇への力を与えたいSEの方々は一読すべきものだ。


SEからコンサルタントになる方法(了)


SEからコンサルタントになる方法
SEからコンサルタントになる方法
著:北添 裕己


コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学
コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学
著:G.M.ワインバーグ , 他


地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
著:細谷 功


世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
著:渡辺 健介



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小松左京の大ヒット小説『日本沈没』のパロディとして友人であった筒井康隆が小松の許可を取って書いた短編小説。
(ちなみに題名を考えたのは、小説家の星新一とのこと)

日本以外の国々が、大陸であろうともほんのわずかを残して次々に海の底に沈んでいき、それらの国民が難民として日本にやって来る。

日本が世界で唯一残る国となり、生き延びるためにそこへ殺到する『ガイジン』。

この構図から、図らずも世界で最も偉い人種となった日本人の驕った島国根性があからさまになり、強烈な人種差別やナショナリズムが描かれる。

筒井康隆の筆により、あくまでブラックユーモア的に表現される。
この辺りのストーリー全体に流れる雰囲気とラストの落とし方は、筒井康隆らしいシニカルな笑いをもたらす。

一方で、小説を読み進めるうちに、地政学的、人類学的、政治的、経済的、様々な側面から日本を考えている自分に気づく。

更に、不可抗力で日本人に対して相対的に立場が弱くなった外国人に対してどのように感じるかで、今現在の自分自身の日本人としての外国人に対するスタンスがわかるようにも思う。

現実には起こり得ない話で、現実味のことを言っても仕方ないのだが、ここまでの災害が起こらずとも、実際に日本に大量の難民が流れ込んできたとしたら、もっともっと事態は複雑化するはずであって、この小説のように単純化された状態にはなり得ない。

しかし、昨今の世界情勢を鑑みれば、日本に難民がやって来るシナリオも十分考えられるものであり、冗談では済まされない。
今後の日本にこの小説のような、ブラックな希望と破滅はやって来てほしくはないものだ。

日本以外全部沈没(了)


日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)
日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)
著:筒井 康隆


日本以外全部沈没
日本以外全部沈没
監督:河崎実


日本沈没 上    小学館文庫 こ 11-1
日本沈没 上 小学館文庫 こ 11-1
著:小松 左京


日本沈没 下    小学館文庫 こ 11-2
日本沈没 下 小学館文庫 こ 11-2
著:小松 左京


日本沈没 スタンダード・エディション
日本沈没 スタンダード・エディション
監督:樋口真嗣



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近年において、日本は阪神淡路大震災、二度の中越地震を経験し、世界的にもスマトラ沖地震のような大被害をもたらした地震を経験した。

更には随分前から関東に直下型地震がくると言われ、それはいつ起こっても不思議ではないと考えられている。

災害が起こるとブームのように災害対策グッズが売れ、首都機能移転が議論される。
しかし、毎回一過性のものに終わりがちだ。

確かに大地震に襲われたらどこに逃げればよいのか、どうすればよいのか皆目見当もつかず、地下鉄などは閉じ込められたら危険かも知れないが、構造的には頑丈なはずだし、毎日の通勤通学に使わなければならないから、とりあえず使おうという程度の認識だろう。

災害に対して絶対の安全などないが、将来起こり得ることの幾何かを描いている警鐘としても考えてみることも必要な現実になってきているのかもしれない。
勿論、漫画の中では学問的な専門性に合わないところもあれば、現実味のない点も多々ある。

しかしながら、漫画なのであるから、エンターテイメント性を優先することには問題が無いし、重要な点はそれに加えて“今、この時に通じる”様々に考えさせられるテーマを作品に持たせていることであり、それは大変素晴らしいと思う。

ドラゴンヘッド(了)


ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
著:望月 峯太郎


ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド
監督:飯田譲治


バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
著:望月 峯太郎


バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
著:望月 峯太郎



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突然日本を襲った巨大震災を生き抜くサバイバルストーリー。

作者の望月峯太郎は『バイクメ~ン』『バタアシ金魚』などで独自の世界観と雰囲気を持つ作家で、特にクセのある絵柄は好き嫌いが分かれるところだろう。
かく言う筆者もこの作者の絵柄は苦手だと思っていた。

しかし、本作を読んで、絵柄で敬遠したままでなく、読んでみて良かった。
漫画でこんな表現方法があったのかと感心することさえあった。

ストーリーは、高校生の主人公が修学旅行途中の新幹線に乗っている最中、トンネルに差し掛かったところで巨大な揺れに襲われ、閉じ込められるところから始まる。

抜け出せるか分からない閉鎖空間で、正常な精神を保つことが難しい感覚を上手く表現しており、そこから続くもっと大きな災害の世界に移る前に読者をこの『ドラゴンヘッドの世界』に閉じ込めることに成功している。

読者はあたかも主人公達と同じように災害の世界に取り込まれた感覚になるだろう。

この効果は更に物語が進んでいった時に一層効力を発揮し、中盤から後半のストーリーの加速時に読者をダレさせない。

また、グロテスクではないが、登場人物に対する作者のある種容赦ない姿勢が、『どうせ助かるんだろう』と言ったような予定調和的、ご都合主義的な考えを差し挟む余地を最小に抑えており、変に冷めさせることもない。

この辺りは、映画などと比較するよりも、大ヒットしたゲーム『バイオハザード』などと較べた方が面白いかも知れない。
読者(=プレイヤー)を物語の世界に捕らえ、何が起こるかわからないという感覚を常に与え続けるという手法だけでなく、この漫画作品を読んだ感覚は一人称の視点からパニックの中をサバイバルしているものに近いと思う。

それ程ストーリー、表現ともに評価できる。


ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
著:望月 峯太郎


ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド
監督:飯田譲治


バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
著:望月 峯太郎


バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
著:望月 峯太郎



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