ジパング

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イージス艦『みらい』がタイムスリップした戦乱の時代に生まれ生きていた旧世代の日本人がもう一人の主人公として、知ることのできないはずの『未来』を『みらい』と出会うことによって知ってしまう。

これにより、『現代の日本人が見た過去の戦争の現実』と『過去の日本人が見た未来の日本の現実』が錯綜し、『今の日本人の観念による犠牲の回避』と『過去の日本人の観念による将来の敗戦の回避』がぶつかり合う。

当然のことながら、過去の日本人の観念による考え方を、今の日本人が完全に再現することはできないであろうし、それを考えることも極めて難しいと思う。

本作においては、未来を知ることになるこのもう一人の主人公を『一度死んだ人間』として登場させ、自らの国が爆撃と核兵器により焦土と化し、無条件降伏をするという『未来』を受け入れる衝撃に耐えられる伏線とし、現代的な先見の明を持つ人物として描いている。

また、この一度死んだ人間であるという登場の仕方を、その野望(敗戦の回避)に身を捧げる動機のひとつとしている。


戦時タイムスリップ物のSFというと、戦争シミュレーション的な要素の作品を思い浮かべがちであるが、本作は流石は『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじであるという感じで、凡庸な戦争物漫画というところには落ちない。

戦争と日本人とは近現代日本人にとって大きなテーマのひとつであるが、エンターテインメントとしての想像力を働かせながらこのような作品を楽しみ、考えることができるのは、今の日本人にとっての喜びでもあり課題でもあるのだろう。


ジパング 31 (31) (モーニングKC)
ジパング 31 (31)
著:かわぐち かいじ


ジパング 30 (30) (モーニングKC)
ジパング 30 (30)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (16) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (16)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (15) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (15)
著:かわぐち かいじ



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漫画:ジパングかわぐちかいじ著、講談社刊)を読んだ。

近未来、海上自衛隊イージス艦みらい』は航海中の雷雨に遭い、1942年の太平洋へタイムスリップする・・・。

何となく、よくありそうな出だしの物語だ。
しかし、現代に生きる日本人としてこの作品を読む時、単なるエンターテインメントの読み物として以上に考えることがあるのは、必然であると思う。


歴史認識そのものについて本稿にて語るつもりはないが、人が生き、国家が生まれ続き消えてゆくこと、その歩みと流れが歴史となって行くことを思えば、歴史を考えることは自らの存在を考えることに通じるとも思う。

また、歴史を綴る、もしくは後世に伝えることができるのは、生き残り後の世の主流となれた者だけである…つまりは歴史とは勝者が綴るものであるから、その立場にない者が与えられた歴史を『自らの立場で』『自らの主導権を持って』理解したいと思うことは必然の流れだ。
特に先の大戦を周知の結果で終えた日本人にとっては、ある種タブーではあるが、そこに思いを巡らす誘惑には抗えないものでもあろう。


このジパングという作品も、当然連載マンガとしての娯楽性も求められただろうとは言え、多少なりともそのような誘惑によって生まれた作品ではなかったのではないか。

大戦において、圧倒的な物量をもって日本を打ち負かしたアメリカに対して、逆に圧倒的な力を持って制覇するという姿によって溜飲を下げるという気持ちも良くわかる。

しかし、この作品では作中の主要な登場人物を自衛官という設定にすることにより、『現代の日本人』を現憲法の下に立ち、善悪と…信念によって例え自らが危険に晒されようとも武力を持ってこれを解決しない姿勢を貫くという制約を課した。

この制約は前述のある種復讐的な見方による逆転の世界史を期待する読者には歯がゆいものであるかもしれない。


ジパング 31 (31) (モーニングKC)
ジパング 31 (31)
著:かわぐち かいじ


ジパング 30 (30) (モーニングKC)
ジパング 30 (30)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (16) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (16)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (15) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (15)
著:かわぐち かいじ



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