2007年09月

2007年09月の情報ページです。
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小松左京の大ヒット小説『日本沈没』のパロディとして友人であった筒井康隆が小松の許可を取って書いた短編小説。
(ちなみに題名を考えたのは、小説家の星新一とのこと)

日本以外の国々が、大陸であろうともほんのわずかを残して次々に海の底に沈んでいき、それらの国民が難民として日本にやって来る。

日本が世界で唯一残る国となり、生き延びるためにそこへ殺到する『ガイジン』。

この構図から、図らずも世界で最も偉い人種となった日本人の驕った島国根性があからさまになり、強烈な人種差別やナショナリズムが描かれる。

筒井康隆の筆により、あくまでブラックユーモア的に表現される。
この辺りのストーリー全体に流れる雰囲気とラストの落とし方は、筒井康隆らしいシニカルな笑いをもたらす。

一方で、小説を読み進めるうちに、地政学的、人類学的、政治的、経済的、様々な側面から日本を考えている自分に気づく。

更に、不可抗力で日本人に対して相対的に立場が弱くなった外国人に対してどのように感じるかで、今現在の自分自身の日本人としての外国人に対するスタンスがわかるようにも思う。

現実には起こり得ない話で、現実味のことを言っても仕方ないのだが、ここまでの災害が起こらずとも、実際に日本に大量の難民が流れ込んできたとしたら、もっともっと事態は複雑化するはずであって、この小説のように単純化された状態にはなり得ない。

しかし、昨今の世界情勢を鑑みれば、日本に難民がやって来るシナリオも十分考えられるものであり、冗談では済まされない。
今後の日本にこの小説のような、ブラックな希望と破滅はやって来てほしくはないものだ。

日本以外全部沈没(了)


日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)
日本以外全部沈没―パニック短篇集 (角川文庫)
著:筒井 康隆


日本以外全部沈没
日本以外全部沈没
監督:河崎実


日本沈没 上    小学館文庫 こ 11-1
日本沈没 上 小学館文庫 こ 11-1
著:小松 左京


日本沈没 下    小学館文庫 こ 11-2
日本沈没 下 小学館文庫 こ 11-2
著:小松 左京


日本沈没 スタンダード・エディション
日本沈没 スタンダード・エディション
監督:樋口真嗣



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近年において、日本は阪神淡路大震災、二度の中越地震を経験し、世界的にもスマトラ沖地震のような大被害をもたらした地震を経験した。

更には随分前から関東に直下型地震がくると言われ、それはいつ起こっても不思議ではないと考えられている。

災害が起こるとブームのように災害対策グッズが売れ、首都機能移転が議論される。
しかし、毎回一過性のものに終わりがちだ。

確かに大地震に襲われたらどこに逃げればよいのか、どうすればよいのか皆目見当もつかず、地下鉄などは閉じ込められたら危険かも知れないが、構造的には頑丈なはずだし、毎日の通勤通学に使わなければならないから、とりあえず使おうという程度の認識だろう。

災害に対して絶対の安全などないが、将来起こり得ることの幾何かを描いている警鐘としても考えてみることも必要な現実になってきているのかもしれない。
勿論、漫画の中では学問的な専門性に合わないところもあれば、現実味のない点も多々ある。

しかしながら、漫画なのであるから、エンターテイメント性を優先することには問題が無いし、重要な点はそれに加えて“今、この時に通じる”様々に考えさせられるテーマを作品に持たせていることであり、それは大変素晴らしいと思う。

ドラゴンヘッド(了)


ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
著:望月 峯太郎


ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド
監督:飯田譲治


バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
著:望月 峯太郎


バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
著:望月 峯太郎



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突然日本を襲った巨大震災を生き抜くサバイバルストーリー。

作者の望月峯太郎は『バイクメ~ン』『バタアシ金魚』などで独自の世界観と雰囲気を持つ作家で、特にクセのある絵柄は好き嫌いが分かれるところだろう。
かく言う筆者もこの作者の絵柄は苦手だと思っていた。

しかし、本作を読んで、絵柄で敬遠したままでなく、読んでみて良かった。
漫画でこんな表現方法があったのかと感心することさえあった。

ストーリーは、高校生の主人公が修学旅行途中の新幹線に乗っている最中、トンネルに差し掛かったところで巨大な揺れに襲われ、閉じ込められるところから始まる。

抜け出せるか分からない閉鎖空間で、正常な精神を保つことが難しい感覚を上手く表現しており、そこから続くもっと大きな災害の世界に移る前に読者をこの『ドラゴンヘッドの世界』に閉じ込めることに成功している。

読者はあたかも主人公達と同じように災害の世界に取り込まれた感覚になるだろう。

この効果は更に物語が進んでいった時に一層効力を発揮し、中盤から後半のストーリーの加速時に読者をダレさせない。

また、グロテスクではないが、登場人物に対する作者のある種容赦ない姿勢が、『どうせ助かるんだろう』と言ったような予定調和的、ご都合主義的な考えを差し挟む余地を最小に抑えており、変に冷めさせることもない。

この辺りは、映画などと比較するよりも、大ヒットしたゲーム『バイオハザード』などと較べた方が面白いかも知れない。
読者(=プレイヤー)を物語の世界に捕らえ、何が起こるかわからないという感覚を常に与え続けるという手法だけでなく、この漫画作品を読んだ感覚は一人称の視点からパニックの中をサバイバルしているものに近いと思う。

それ程ストーリー、表現ともに評価できる。


ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
ドラゴンヘッド (1) (ヤンマガKCスペシャル (519))
著:望月 峯太郎


ドラゴンヘッド
ドラゴンヘッド
監督:飯田譲治


バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
バイクメ~ン 1 (1) (ヤングマガジンコミックス)
著:望月 峯太郎


バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
バタアシ金魚 1 (1) (ヤンマガKCスペシャル)
著:望月 峯太郎



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プロセスの管理ができていないということは、(プロセスそのものが定義されていない場合を除いて)ほとんどの場合、正確な指示が出せていない、出した指示に対するフィードバックがない、戻ってきたフィードバックを正しく処理できない、ということだ。

つまり、簡単に言えば、PDCAサイクルが正しく回っていないのだ。

特に、上層(主に経営層)からの指示と、下層(主に実務層)からのフィードバックがきちんと繋がっていないことに起因することが多い。

まず、下層が上層からの指示を受ける際に、指示の背景、意味(何のための指示なのか)を理解していない。
下層が指示を実行した後に、上層へフィードバックするためのプロセスが整備されていない、フィードバックを行ったとしても、その内容の重要度が判らなかったり、正しく伝わらない。

このプロセスの結果を他のプロセスに繋げる仕組み、そこでチェックすべき項目を洗い出しておくこと、チェックの結果に応じた対応、それらの履歴管理の方法を定義することが管理プロセスを整備するということだ。

内部統制だけでなく、プロジェクトマネジメントにおいても言えることだ。
(プロジェクトも統制すべき企業活動のひとつであるから、当たり前なのだが)

内部統制とは、企業活動における内部統制の4つの目的
1.業務
2.財務報告
3.法令遵守
4.資産保全
を担保するためのPDCAサイクルを確実に、正確に実施するためのものなのだ。

この観点を忘れずに内部統制に取り組むことが必要であり、これは企業内の管理者であろうともオペレーターであろうとも、変わらずに持たなければならない姿勢なのである。

内部統制実践ガイド(了)


内部統制実践ガイド [新制度対応版]
内部統制実践ガイド [新制度対応版]
著:久保 惠一 , 他


日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
著:監査法人トーマツ 久保惠一 , 他


内部統制の実務Q&A
内部統制の実務Q&A
編さん:新日本監査法人


ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
編さん:日経コンピュータ



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内部統制対応の実務では、残念ながら、プロセスフロー業務記述書リスクコントロールマトリクスRCM)の三点セットを作ることだとしている現場が多いのも事実であると思う。

しかしながら、内部統制対応実務はこの三点セットだけではないことは理解しておく必要がある。

往々にしてありがちなのは、ドキュメントを作ったは良いが、作ることが目的になってしまい、その後に全くアップデートされない、それどころかダンボールに入れられて所在すらわからなくなるということである。

更にその後、忘れた頃に監査で埃の中から引っ張り出され、既に古くなった内容を指摘される。
指摘された内容を最新の状態に修正するのは、最初にドキュメントを作成したのと同等以上の労力を要する。

まずは何のためにドキュメントを作るのかを理解し、ドキュメントを作ることではなく、使うことを考える。
使うことが目的なのだ。

内部統制の内容を学ぶ前には、必ず『何故このドキュメントを作るのか?』を意識しなければならないと覚えておいていただきたいと思う。


内部統制実践ガイド [新制度対応版]
内部統制実践ガイド [新制度対応版]
著:久保 惠一 , 他


日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
著:監査法人トーマツ 久保惠一 , 他


内部統制の実務Q&A
内部統制の実務Q&A
編さん:新日本監査法人


ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
編さん:日経コンピュータ



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本書を通じて内部統制の考え方の重要ポイントを順番に理解できる。

副題には『チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント』とあるが、みっちり導入の現物を見ながらケーススタディを行うというものではなく、あくまでイメージレベルと考えた方が良いだろう。

本書は次の流れで記述されている。

内部統制で何が変わるのかの理解

・日本版COSOの、6つの基本的要素
1.統制環境
2.リスクの評価と対応
3.統制活動
4.情報と伝達
5.モニタリング
6.ITの利用

と4つの内部統制の目的

1.業務
2.財務報告
3.法令遵守
4.資産保全

に従ったポイントの理解


通常では、内部統制が何故必要か、内部統制を行うに当たっての制度はどんなものがあるか、内部統制を行うに当たっての業務上の確認事項、とりまとめるための文書の作り方、といったものを記述して終わりということが多いが、本書では実際に導入する際のコスト負担についてなどの実務面にも触れている。

十分な内容ではないかもしれないが、まず実践に必要なものを知るためには役に立つかと思う。


内部統制実践ガイド [新制度対応版]
内部統制実践ガイド [新制度対応版]
著:久保 惠一 , 他


日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
日本版SOX法実施基準完全対応 改訂新版 内部統制実践ガイド―チェックリストと導入事例で理解する実務のポイント
著:監査法人トーマツ 久保惠一 , 他


内部統制の実務Q&A
内部統制の実務Q&A
編さん:新日本監査法人


ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
ITから見た内部統制実践ガイド―エンロン事件から日本版SOX法の実際、対策、関連製品まで (日経BPムック)
編さん:日経コンピュータ



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この本は、制約条件の理論制約理論TOC:Theory of Constraints)を分かり易く物語として書いたものである。

制約理論とは、複数のプロセス群からなる一連のプロセスフローがある場合に、そのプロセスフローのスループットを最大化させるための理論である。
(見方によっては、プロセスフローのクリティカルパスを最短化・最小化する方法を求める考え方であるとも言えだろう)

また、制約理論とは、本書の著者であるエリヤフ・ゴールドラット博士によって創始され、世界中で実践されながら開発されているものである。

主人公のアレックスは機械メーカーの工場長で、採算悪化に陥り閉鎖の危機に瀕した工場を、制約理論に基づいた理論と的確な判断によって立て直していく。

刊行から既に数年が過ぎているが、サプライチェーンや生産管理を学ぶためには、今でも必須の知識だ。

この本は邦訳されるまでに250万部を世界で売ったが、その時期はジャパンアズナンバーワンと言われていた時期であり、日本の経済成長にこれ以上の武器を与えてはいけないとの思いから17年もの間、日本語訳が認められていなかったそうだ。

この本の邦訳が出版される前からこのような考え方は勿論日本にもあったし、一部実務にも取り入れられていた。

しかしながら、それは一般のサラリーマンレベルが簡単に手にとって理解できるものとして世に出ていなかったし、体系立った知識化されていなかった。
そのため、日本で紹介された際には、多くの驚きを持って迎えられたようだ。

個人的には、内容そのものも極めて素晴らしいのであるが、このような知識体系を整理し、更にそれを『誰にでも理解できる形で』公に公表する行為が更に素晴らしいと思う。


ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
著:エリヤフ ゴールドラット


ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス
ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス
著:エリヤフ ゴールドラット


クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
著:エリヤフ ゴールドラット , 他


チェンジ・ザ・ルール!
チェンジ・ザ・ルール!
著:エリヤフ・ゴールドラット



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サプライチェーンについて最初から分かり易く噛み砕いて書かれた入門書。

サプライチェーンの概念は、今や言わずもがなになっている感があるが、コンサルタントやその道のプロが知っていれば良いというものではなく、事業に関わる全ての人が習熟すべき事項である。

サプライチェーンの学習などというと、特に実務の経験が豊富であればある程、机上の論理であると感じたり、自社には適用できない押し付けのベストプラクティスであると感じたりしがちだ。

しかしながら、こうした『理屈』の部分を理解することなく、業務を組み立てることはできないし、変わることができない人になってしまう危険もある。
まず必要なのは考え方なのだ。

何故需要予測をしなければならないのか、販売と生産、更には調達が何故時間的に近接していなければならないのか。
企業活動の基本として、新入社員レベルでまず覚えるべき事柄である。

そして、在庫とは何か?キャッシュフローとは何か?
調達から製造、販売までの流れには何故ギャップが生まれるのか?
ロジスティクスとは何か?

全ての側面からの知識を駆使して自らの業務を理解する必要がある。
そうでなければ、自社の事業を理解することはできないし、机を並べている同僚が何をしているのかすら理解することはできないだろう。

初学者や新入社員ではまず、このような本で基礎を理解した上で、次のステップに進み、マネジメントの詳細、ロジスティクスの詳細、制約理論を学び、カイゼンシックスシグマといったベストプラクティスを学べば良いだろう。
これは日常の業務をこなしながらでも少しずつ学習することができるボリュームであり、日常業務の意味合いを理解しながら進めることができるという点においてもやりやすいだろう。

更に言えば、サプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から業務推進に必要なポイントを理解することができれば、それを基に新たな事業を起こすことも可能かもしれない。

日本においても理論と実践に基づいた、様々な目標を持った事業が起こると素晴らしいと思う。
言葉の壁はあるとはいうものの、ERPのようなものは日本からも作られた可能性はあったと思うのだ。

トコトンやさしいSCMの本 (了)


トコトンやさしいSCMの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
トコトンやさしいSCMの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
著:鈴木 邦成


あっ!という間にわかる図解 B2Bの最新常識 (B&Tブックス)
あっ!という間にわかる図解 B2Bの最新常識 (B&Tブックス)
著:鈴木 邦成


ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
著:エリヤフ ゴールドラット



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Google Web Toolkit―Eclipse+Javaで開発するAjaxアプリケーション

javaによって記述したプログラムをjava scriptプログラムに変換するフレームワークであるgoogle web toolkit(GWT)の入門書。

日本ではあまり盛り上がっておらず、残念な気もするGWTであるが、テクノロジーそのものは注目すべき点のある有用なものだと思う。

本書であるが、公開から多少時間が経っており、当時から配布されているバージョンも異なるため、全くそのままではない点もあるが、現状でも使用できると思われる。
但し、内容はGWT配布ファイルに含まれるサンプルの説明に終始している、ある意味翻訳本。

サンプル以外の話はほとんど無いため、自力でサンプルを読み進められる人にとっては、かなり物足りないかもしれない。

とは言うものの、書籍もあまりなく、使用しているユーザーもあまり見掛けない日本のGWT環境においては、全くの初学者がサンプルを読み進める補助本として置いておくのもありかもしれない。

積極的に勧める本ではないが、学習の手始めには使っても良いだろう。
但し、ある程度スキルのある方は配布されているサンプルを直接読むことをお勧めする。

Google Web Toolkit―Eclipse+Javaで開発するAjaxアプリケーション(了)


Google Web Toolkit―Eclipse+Javaで開発するAjaxアプリケーション
Google Web Toolkit―Eclipse+Javaで開発するAjaxアプリケーション
著:team‐thoth


入門Google Web Toolkit
入門Google Web Toolkit
著:吉野 雅人 , 他


Java徹底活用 Google Web ToolkitによるAjaxアプリケーション開発 (Java徹底活用)
Java徹底活用 Google Web ToolkitによるAjaxアプリケーション開発 (Java徹底活用)
著:川崎 克巳



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この謎解きの構造は、ヒットした『モンスター』で見られた手法のように思う。

力量のない作家がこのような方法論で作品を構築しようとすれば、ほとんどが読むに耐えない代物になってしまうだろう。

ほとんどの場合、いくつもの伏線を消化しきれない。
または、消化するだけのプロットを持っていたとしても、それを全て描き切るまで連載を続けるための人気が持続しない。

かなり壮大なシナリオになってしまい、相当なストーリーテラーでなければ読者が中弛みを感じて飽きてしまうか、伏線や登場人物を忘れて着いていけなくなる。

その点においては、恐らく前出のモンスターではそのような手法を実験的に取り入れ、連載の途中で読者がしっかりと着いてきているという感触を得ることで自信を着けて、走り切ったのではないか。

本作は純粋にエンターテイメントとしての漫画であって、ストーリーやテーマそのものに教訓めいた何かを求めることはないが、その『読ませる力』というのは、感服せざるを得ない。

21世紀少年(了)


21世紀少年 上 (1)
21世紀少年 上 (1)
著:浦沢 直樹


21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)
21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)
著:浦沢 直樹


20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22)
20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22)
著:浦沢 直樹


Monster (1)
Monster (1)
著:浦沢 直樹



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言わずと知れた浦沢直樹の作品。
前作の20世紀少年からの連続もの。

20世紀少年はビッグコミックスピリッツ上にて柔道(YAWARA!)、テニス(Happy!)に続く作品であったが、それまでのスポーツものからは一線を画するストーリーものになっている。
これは、ビッグコミックオリジナル上で連載されていた『マスターキートン』『モンスター』と言った社会派ストーリーを構築していった過程によるものかも知れない。
(ちなみにモンスターは、ハリウッドで実写映画化される予定とのこと)

この作品の前作である20世紀少年が文字通り20世紀に描き始められた作品であったことを考えると、世紀末的な混沌を表したかったようにも思える。
また、作者の少年期であろう昭和40年代へのオマージュと言おうか、懐古主義的な感覚も漂う。
ただ、作者がボブ・ディランに強く傾倒しているらしいので、その影響かもしれない。
(であれば、タイトルは『天国への扉~Knockin' On Heaven's Door~』とでもしてほしかったのは、個人的な想いであるが(笑))

ストーリーを進め方の特徴的なポイントは、過去と現在が交錯し、それぞれの登場人物の遠い記憶が微妙な錯誤とゆらぎを起こして現在の事件をぼかす点だ。

そのぼやけた現在が謎となり、次々に巻き起こる事件に絡みつく。
そしてゆっくりと過去が解き明かされ現在がわかる、反対に現在の謎が解けて過去が判明する。
このように過去と現在を同列に配置し、読者に対してその両方について謎をもたせることにより、より不可解な感覚を増幅させている。
(意図的ではなくとも、その方が後からプロットを直しやすいこともあるのかもしれない)


21世紀少年 上 (1)
21世紀少年 上 (1)
著:浦沢 直樹


21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)
21世紀少年 下 (2) (ビッグコミックス)
著:浦沢 直樹


20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22)
20世紀少年―本格科学冒険漫画 (22)
著:浦沢 直樹


Monster (1)
Monster (1)
著:浦沢 直樹



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この映画は、伊武雅刀演じる『芹沢良道』という大蔵省銀行局長の1990年3月の総量規制通達がバブル崩壊の原因であるという設定で、この通達を止めることで日本の失われた10年を無かったことにしてしまおうというストーリーとなっている。

まず、この総量規制そのものがバブル崩壊の原因であるかどうかという点が疑問ではあるが、ストーリー上はそうなっている。


基本的な作りは、バブルを最大に謳歌してきた年代の人々が、その時代を懐かしみ、もう一度濡れ手に粟の時代が来て欲しいという哀しい思いをこすりつけたという映画だ。

そのため、その世代を知る人々には『ニヤリ』とするシーンが多々登場する。

カメオ出演をしている数名の人物は、やはり過ぎた年月は隠せず、観ているこちらが実際の時の流れを感じてしまう。
どちらかというと1990年当時を再現している六本木の町並み等の方が、懐かしさをより一層引き起こすように感じる。


失われた10年を過ぎ、不景気の傷跡・爪痕は深く残ってはいるものの、少しずつ景気が回復してきたこの'00年代中盤に、バブルへの未練が残る大人達がこのような作品を作りたくなる気持ちも分からなくはない。
もしかしたら、芹沢良道のモデルであろうと思われる『土田正顕』が2004年に亡くなったことも、このタイミングになった原因なのかもしれないが。


しかし、作り方はかなりチープで、当然のことながら深い考察などは一切無い。
自分たちの未練が全面に押し出てしまうことを恐れて、深いテーマを入れることが出来ずに単なるドタバタ喜劇としてまとめたという感が否めない。


さらに、自分たちの同世代がバブル時期の素晴らしさを言っても伝わらないという考えからか、広末涼子という1980年代生まれの女優に『バブルってサイコー!』と叫ばせている。

全般的には、この映画はバブルを謳歌したことのある人々が昔を懐かしむために観るためのものであって、若い人が観てバブルってすごい!と思うようなものではない。

逆に、本作中で強調されているようなバブルの姿を観ても、今の若者達は嫌悪感を示すのではないだろうか。
『この時代の人たちが、このような振る舞いをしたせいで、今の自分たちは苦しみを押しつけられている』
そのように若い人たちが受け取ってしまいかねないのではないだろうか。

そこまでひねくれた考え方をしなくとも、あまり良い気分にはならないだろう。

単なるドタバタ劇としてみる分には構わないが、観る年代によって見方を変えないといけないだろう。


バブルへゴー! (了)


バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スペシャル・エディション
バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スペシャル・エディション
監督:馬場康夫


バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション
バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション
監督:馬場康夫


誰が国賊か―今、「エリートの罪」を裁くとき
誰が国賊か―今、「エリートの罪」を裁くとき
著:谷沢 永一 , 他


バブル崩壊 (新風舎文庫 そ 103)
バブル崩壊 (新風舎文庫 そ 103)
著:相馬 尚文



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たまたまDVDを観る機会があった。
内容はともかく、色々と考えさせられる点もあったので、書籍ではないが、たまには映像作品についても。

バブルを弾けさせる切欠となった、1990年当時の大蔵省による土地取引総量規制を食い止めるため、タイムマシンで過去に行くという話。
ホイチョイ作成ということで、本作にリアリティを求めることはできないが。

バブル景気(およびバブル崩壊)の定義は、特に期間などにおいて諸説あるようであるが、一般的には1985年のプラザ合意と考えられている。
既に20年以上前の出来事になってしまったプラザ合意は、今の若い人々にとっては教科書の中の出来事であろう。
(そもそもバブル景気というのが教科書の中の出来事かもしれないが)

これを引き金として急激な円高を招き、さらには金融緩和による過剰な流動性が発生したこと等により、強烈な投機熱が日本列島を覆った。
それが1980年代末期の超絶好景気をもたらす。(平成景気)
しかしながら、この好景気は実体経済とはかけ離れた資産価値の上昇によるものであったため、『バブル経済』と呼ばれる。

この間には、巨額の海外投資も多数行われ、三菱地所によるロックフェラー・センター、ソニーによるコロムビア映画の買収等は世界的なニュースとなった。


そして、1989年4月に消費税が導入され、続いて1990年3月、当時大蔵省銀行局長であった土田正顕(つちだまさあき)より『土地関連融資の抑制について』(通称:総量規制)に端を発し、急激な金融引き締めが実施された。
この金融引き締めは、まるで振り子の振幅が最も大きかったところから、突然反対の最大振幅まで振られたようなインパクトを日本経済に与える。

これは1989年の日経平均株価最高値38,915円87銭から1990年10月に20,000円を割り込むという急激な株暴落の進行を見ても分かる。
ここから先は失われた10年という暗澹たる90年代を進むことになる。


バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スペシャル・エディション
バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スペシャル・エディション
監督:馬場康夫


バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション
バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スタンダード・エディション
監督:馬場康夫


誰が国賊か―今、「エリートの罪」を裁くとき
誰が国賊か―今、「エリートの罪」を裁くとき
著:谷沢 永一 , 他


バブル崩壊 (新風舎文庫 そ 103)
バブル崩壊 (新風舎文庫 そ 103)
著:相馬 尚文



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初学者向けの、平易な言葉と書き方によって非常に分かり易く書かれた入門書である。

既にロジカルシンキングに関して十分に学んだ方にとっては物足りない部分もあるかもしれないが、何度も繰り返して読み基本を思い出すことのできる良書だ。

また、初学者といっても世の中の荒波という実戦で戦い続けている人の中には知らず知らずのうちにロジカルシンキングが既に使える人もいるかも知れない。

しかしながら、例え何となく使えるようになっていたとしても、体系立てて理解をすることと漠然と覚えていることでは、その後の応用の範囲や度合いが全く違ってくる。
『本当に使える』ようになる。

これは体系立てて他人に説明できるかどうかということでもある。

本当に分かっていることであれば説明できる。
しかし、分かったつもりのことは説明できない。

本書はロジカルシンキングの基礎を人に説明できるレベルまで引き上げられるものだ。
当然ながら訓練も必要であるが、きちんと読み切り理解すれば基礎は押さえることができる。

自分自身のスキルを向上させるために、確立した目標はまだ無いが何かをしなければと考えている方は、是非一度読んでいただきたいと思う。

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」(了)


問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
著:齋藤 嘉則 , 他


戦略パワー・プロフェッショナル
戦略パワー・プロフェッショナル
著:齋藤 嘉則


考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
著:バーバラ ミント


考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉
考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉
著:バーバラ ミント



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暫く前から外資系企業の影響もあってか、日本人にもMBAを取得する人が増えてきた。

日本におけるMBAの有り様には様々な意見が言われるところだが、私個人的には士職業のように既得権益の色合いが強い資格・許認可の歴史風土を持つ日本では、あまり意味が無くなってしまうのではないかと少し心配だ。

既得権益の意識の強い風土においては、取得した資格が直接評価に繋がったり、それを持つことによる他者との明確な差別化が図られなければならないと考えるからである。

簡単に言えば、『MBAを取得したのになにも変わらない』とか、『得になることがないからMBAを取っても意味がない』という考えになりかねない。

MBAを取得した人にとって、それが本質的な議論ではないことは明らかである。
(そもそもMBAは所謂資格ではないが)

しかし、周りもきちんとそのような考え方をしないと、『MBAは使えない』と言うような誤解を招いてしまう。
MBAとは高度な経営学の知識と方法論を学んだ経営のプロであるはずなのだが。

これはロースクールが日本では法律家になるための学校で、米国では法律家が活躍するための学校であるという位置付けに似ているかもしれない。
つまり、経営学を実践する下地が無いレベルの人間が、机の上だけの話でわかった気になってしまうと言うような。

経営学を学ぶことは誰でもできるが、使うことは簡単ではない。
実践するためには、知識や方法論だけでなく、経験や人脈、人間性といった定性的な面も重要になってくるだろう。

そんな中で、まず方法論というものは、経験がなくともかなりの部分を学び力にすることができる分野だ。
勿論経験があった方が具体的な例として考えることができるし、有利であることは言うまでもない。

MBAコースのような体系においても重要な位置に置かれるものであるが、まずいきなりMBAなどに進む前に、本書のような論理思考(ロジカルシンキング)を学ぶことをお勧めしたい。

本書は論理思考の分野においてベストセラーであり、多くのコンサルティングファームで推薦された書籍である。


問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
著:齋藤 嘉則 , 他


戦略パワー・プロフェッショナル
戦略パワー・プロフェッショナル
著:齋藤 嘉則


考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則
著:バーバラ ミント


考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉
考える技術・書く技術 ワークブック〈上〉
著:バーバラ ミント



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電通の正体

日本の巨大企業で最も謎の多い会社であると言っても過言ではない電通を分析した本。

所謂暴露本の類ではないが、煽り要素の強い表現が多々あり、筆者にそのような意図が有るにしろ無いにしろ覗き見趣味的な本に感じられるのは少々残念な気がする。
良い記事を女性週刊誌で見つけた感じと言おうか、良い特集をワイドショーの中で観たと言おうか…。

日本では、巨大メディアには寄り添うように必ず電通がいるため、一般にも名前が知られているし、所謂『ギョーカイ』と言われたバブルの時期を通じてどんな会社であるかはみんな知っていると思っているようだ。

だがその支配力や影響の範囲はあまり知られていないし、収益の構造もあまり知られてはいないようだ。
この本ではその全てを明らかにすることまでは至っていないし、一冊の(それもこんなに薄い)本で全て網羅することができるほどその構造は簡単ではないだろう。

しかし、日本の情報を一手に握り、世論を作ることができる唯一の企業と言っても過言ではない電通を知るための数少ない本である。

正直なところ良書とは思わないし、この本を手に取ろうと思う人にとってはほとんど既知の内容であると思うが、珍しい本であるため取り上げた。

個人的にはもう少しメディアとの資本の繋がりを掘り下げて、研究といえる程度に調査してもらいたいと思ったが。
加えて繰り返しになるが、『煽り風』『芸能風』な表現もある程度は大丈夫であれば、手にとってみても良いかもしれない。

電通の正体(了)


電通の正体―マスコミ最大のタブー
電通の正体―マスコミ最大のタブー
著:『週刊金曜日』取材班


戦略広報―パブリックリレーションズ実務事典
戦略広報―パブリックリレーションズ実務事典
著:電通パブリックリレーションズ , 他


団塊マーケティング (電通選書)
団塊マーケティング (電通選書)
著:電通シニアプロジェクト


電通「鬼十則」 (PHP文庫)
電通「鬼十則」 (PHP文庫)
著:植田 正也



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パズル・パレスを読んで

ダ・ヴィンチ・コードで一躍超有名作家となった、ダン・ブラウンの処女作。

原題はデジタルフォートレス。

小説に限らず、物語の中心となる登場人物などが『活きている』場合には、その登場人物名ズバリのタイトルであっても全く違和感がない。

こういった所謂『キャラが立っている』作品で主人公の名前がタイトルになっているものとしては、漫画に多いように思う。
福本伸行の『カイジ』や『アカギ』といったの人気作は分かりやすい例だろう。


ではこの作品はどうか?

タイトルのデジタルフォートレスとは、この物語の中核をなす『仕掛け』である。
少なくとも『活きた主人公』ではない。

ダン・ブラウンの作品全般について、私は強烈な登場人物が引っ張っていくと思ったことはないが、テーマと舞台設定、数々の洒落た小道具達が、時に登場人物達を置いていきそうな勢いでストーリーを押し流していくように感じる。

この処女作でも既にダン・ブラウンのそのような特性は確立しつつあり、いくつかの蘊蓄と共に綿密にプロットされた物語が疾走する。

国防上の超重要事項であり、最高機密の一つである暗号解読を受け持つアメリカ国家機関を舞台として、ひとりの天才が作り出した絶対に解けない暗号を巡り、天才達が翻弄される。

この“絶対に解けない暗号”が『デジタルフォートレス』である。

登場人物ではないが、このデジタルフォートレスを中心に全ての物語が回る。
読者は登場人物の謎に思いを巡らすように・・それ以上に謎に満ちたデジタルフォートレスに思いを馳せる。

そう、この『仕掛け』が全ての登場人物以上に『活きている』のである。

ダン・ブラウンの描く物語は、科学的に事実に基づいたものが多く、その『事実と思われるもの』が描き出すリアリティとそれに纏わる様々な蘊蓄が最大の魅力のひとつであるが、本作ではこの要素が最大限に『主人公としての仕掛け』に生かされている。


話の展開や筋の深さなどは、日本ではダン・ブラウンの後続の作品が先行して発行されたこともあり、他の作品を読んだ後では若干粗い点が見受けられるようにも思う。
しかし、エンターテインメントとして十分に楽しめる作品に仕上がっていると思う。

パズル・パレス(了)


パズル・パレス (上)
パズル・パレス (上)
著:ダン・ブラウン


パズル・パレス (下)
パズル・パレス (下)
著:ダン・ブラウン


アカギ 19 (19)
アカギ 19 (19)
著:福本 伸行


アカギ―闇に降り立った天才 (第5巻)
アカギ―闇に降り立った天才 (第5巻)
著:福本 伸行



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イージス艦『みらい』がタイムスリップした戦乱の時代に生まれ生きていた旧世代の日本人がもう一人の主人公として、知ることのできないはずの『未来』を『みらい』と出会うことによって知ってしまう。

これにより、『現代の日本人が見た過去の戦争の現実』と『過去の日本人が見た未来の日本の現実』が錯綜し、『今の日本人の観念による犠牲の回避』と『過去の日本人の観念による将来の敗戦の回避』がぶつかり合う。

当然のことながら、過去の日本人の観念による考え方を、今の日本人が完全に再現することはできないであろうし、それを考えることも極めて難しいと思う。

本作においては、未来を知ることになるこのもう一人の主人公を『一度死んだ人間』として登場させ、自らの国が爆撃と核兵器により焦土と化し、無条件降伏をするという『未来』を受け入れる衝撃に耐えられる伏線とし、現代的な先見の明を持つ人物として描いている。

また、この一度死んだ人間であるという登場の仕方を、その野望(敗戦の回避)に身を捧げる動機のひとつとしている。


戦時タイムスリップ物のSFというと、戦争シミュレーション的な要素の作品を思い浮かべがちであるが、本作は流石は『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじであるという感じで、凡庸な戦争物漫画というところには落ちない。

戦争と日本人とは近現代日本人にとって大きなテーマのひとつであるが、エンターテインメントとしての想像力を働かせながらこのような作品を楽しみ、考えることができるのは、今の日本人にとっての喜びでもあり課題でもあるのだろう。


ジパング 31 (31) (モーニングKC)
ジパング 31 (31)
著:かわぐち かいじ


ジパング 30 (30) (モーニングKC)
ジパング 30 (30)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (16) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (16)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (15) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (15)
著:かわぐち かいじ



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漫画:ジパングかわぐちかいじ著、講談社刊)を読んだ。

近未来、海上自衛隊イージス艦みらい』は航海中の雷雨に遭い、1942年の太平洋へタイムスリップする・・・。

何となく、よくありそうな出だしの物語だ。
しかし、現代に生きる日本人としてこの作品を読む時、単なるエンターテインメントの読み物として以上に考えることがあるのは、必然であると思う。


歴史認識そのものについて本稿にて語るつもりはないが、人が生き、国家が生まれ続き消えてゆくこと、その歩みと流れが歴史となって行くことを思えば、歴史を考えることは自らの存在を考えることに通じるとも思う。

また、歴史を綴る、もしくは後世に伝えることができるのは、生き残り後の世の主流となれた者だけである…つまりは歴史とは勝者が綴るものであるから、その立場にない者が与えられた歴史を『自らの立場で』『自らの主導権を持って』理解したいと思うことは必然の流れだ。
特に先の大戦を周知の結果で終えた日本人にとっては、ある種タブーではあるが、そこに思いを巡らす誘惑には抗えないものでもあろう。


このジパングという作品も、当然連載マンガとしての娯楽性も求められただろうとは言え、多少なりともそのような誘惑によって生まれた作品ではなかったのではないか。

大戦において、圧倒的な物量をもって日本を打ち負かしたアメリカに対して、逆に圧倒的な力を持って制覇するという姿によって溜飲を下げるという気持ちも良くわかる。

しかし、この作品では作中の主要な登場人物を自衛官という設定にすることにより、『現代の日本人』を現憲法の下に立ち、善悪と…信念によって例え自らが危険に晒されようとも武力を持ってこれを解決しない姿勢を貫くという制約を課した。

この制約は前述のある種復讐的な見方による逆転の世界史を期待する読者には歯がゆいものであるかもしれない。


ジパング 31 (31) (モーニングKC)
ジパング 31 (31)
著:かわぐち かいじ


ジパング 30 (30) (モーニングKC)
ジパング 30 (30)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (16) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (16)
著:かわぐち かいじ


沈黙の艦隊 (15) (講談社漫画文庫)
沈黙の艦隊 (15)
著:かわぐち かいじ



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現代において、ゼロベース思考のようなブレイクスルーを導く方法論やアプローチが考えられているが、既存の権威や人々全てに同様のアプローチを持たせることはできないのだ。

誰しもが過去の成功に縛られ、過去の失敗に捕らわれるのだ。

それは人間であれば抗うことのできない性なのかもしれない。
もしかしたら、人間は経験を積むことによりそうなってしまうのかもしれない。

それは、アルバート・アインシュタインですらも逃れられないものだった。
有名な、一般相対性理論の解を補正するために、『宇宙項』なるものを追加したことなどはそうであったのかもしれない。

『静的な宇宙』という『思い』に捕らわれてしまったのかもしれないが・・・。


人間は、きっと誰しもが根本として、『正しさ』や『正しいこと』を決めるのは人間ではないことを知っている。
しかし、『“正しさ”や“正しいこと”とは何か?』ということは別のことであると考えているのではないか。

『“正しさ”や“正しいこと”とは何か?』の定義には、主観が入る。
主観を持った『自分』が正しいと考えたことが正しいことになる。

自然科学においてすら、『正しいこと』が『正しいと認められること』とならないのは違和感がある。
しかしこの分野においても、『正しさを持った新説』が権威を持って正しいと一般に認められるためには、過去の権威を持つ人々が鬼籍に入り、過去の考えが一掃されることが必要なのだ。

人間の歴史において、過去が無ければ現在は存在できず、しかし未来に向かって進むためには過去を振り切る必要もある。
そんな二律背反的な難しさ、多くは現代に生きる我々が日常で良く目にする光景・・・毎日メディアを賑わしている社保庁の問題を初めとした既得権益者達による変われない社会、新しいことに挑戦する杭を叩いて潰す会社の指導者・・・そう言ったものの根本を、この本の中でもまた見出すことができるような気がする。


人間が歴史的に持つ閉塞感に息が詰まってしまいそうな目眩を感じるが、一方で、この本の中ではそれらを乗り越えて新たな知見を見出し、未踏の領域へ踏み出すのもまた人間の持つ能力であり、集積された知識と知恵、そしてたゆまぬ努力とそれを支える不滅の好奇心であることが分かり、希望を持つことができるのである。


ビッグバン宇宙論 (上)
ビッグバン宇宙論 (上)
著:サイモン・シン


ビッグバン宇宙論 (下)
ビッグバン宇宙論 (下)
著:サイモン・シン



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そう言えば、BECKを読んでギターについて考えていたら思い出したが、

FUJI XEROX のCMの『一人一音演奏会』シリーズが、ピアノ篇からギター篇になったのをTVで見た。

ピアノ篇のラ・カンパネラも素晴らしかったが、今回のツィゴイネルワイゼンも素晴らしい。
(個人的にはヴァイオリン曲だけでなく、ギター曲もやってほしいが(笑))

FUJI XEROX『一人一音の演奏会』のページ


フジ子・ヘミングの奇蹟~リスト&ショパン名演集~
フジ子・ヘミングの奇蹟~リスト&ショパン名演集~
フジ子・ヘミング


奇蹟のカンパネラ
奇蹟のカンパネラ
フジ子・ヘミング


高嶋ちさ子/クラシカル・セレクション~高嶋ちさ子からはじめるクラシック
高嶋ちさ子/クラシカル・セレクション
~高嶋ちさ子からはじめるクラシック

高嶋ちさ子


どこかで聴いたクラシック ヴァイオリン・ベスト101
どこかで聴いたクラシック
ヴァイオリン・ベスト101

オムニバス(クラシック)




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BECKベック)という漫画を読んだ。
まだ未完の作品であるため、途中までではあるが、感想を少し。

1999年から続く、既に長い連載を持つ作品だが、若干の偏りはあるものの全般的には良くできた作品だと思う。

平凡な中学生の主人公:田中幸雄(コユキ)が、南竜介という非凡な過去と天性の才能を持つギタリストと出会い、バンドにのめり込んでいく。
その過程でコユキの非凡なボーカルの才能も見出され、それぞれの才能が開花していく。

バンドものの漫画というと、1985年~1987年まで週刊少年サンデーに連載されていた、上条淳士の『TO-Yトーイ)』が金字塔のひとつであるが、どちらも主人公が天性の才能を持つという点は共通している。

また、一世を風靡した過去のトップスターをライバル(障害物)的に配置することで、ご都合主義的な部分だけで話が進まないように、主人公にハードルを課している。

例えば、TO-Yでは、藤井冬威という主人公が、哀川陽司という人気スターをライバルとして成長していく。
対して、BECKでは、コユキを初めとした主人公グループが、蘭という元ビジュアル系ロックバンドの大御所や音楽業界のプロモーターらに障害を与えられ、成長していく。

どちらも、主人公グループは『音楽性を重視している』という共通点を持つ。
その上で、ライバル達は商業的音楽の代表者的な立場で、主人公グループの『当に好きな音楽を演じる』という点に少なからず嫉妬を覚える、もしくは感化され目覚めさせられる、という構図になっている。

作中の表現は、どうしても作者の主観になってしまうため、是非は別になってしまうが、多少の偏見は織り込んで読まないといけないようだ。

TO-Yでは当時の世相であるバンドブーム(BOØWYなどが大ブレイクする頃)によって、歌謡曲シーンの最後を飾ったチェッカーズや吉川晃司がモチーフとされ、歌謡曲アイドル路線を否定する論調で物語が綴られた。

このBECKでは、ビジュアル系ロックバンドやヘヴィメタルムーブメント、商業面を重視する音楽業界を否定する論調で綴られている。
(特に音楽業界は、マフィアを全面に押し出すことによって、嫌悪を煽っている)

TO-Yが戦後~1970年代の歌謡曲を否定することによって立脚した作品であるとすれば、BECKは1980年代~1990年代のバンドブームを否定することによって立脚した作品であるようにも思える。
(しかし、BECKの作品中ではオルタナティブ的なロックや古典的ロックは正統派として評価されているため、作者の音楽的嗜好による偏見は多少あると思われる)


BECK volume30 (30) (KCデラックス)
BECK volume30 (30)
(KCデラックス)

著:ハロルド作石


BECK volume29 (29) (KCデラックス)
BECK volume29 (29)
(KCデラックス)

著:ハロルド作石


TO-Y (1)  小学館文庫
TO-Y (1)
小学館文庫

著:上條 淳士



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ビッグバン宇宙論を読んで、人間が『既存の考え方』を打ち破ることは本当に難しいことであることが、改めて分かった。

人間が既存の考え方を変えるということは、『たった一人が違う考え方を見付ける』ということではない。
『違う考え方がスタンダードとして広く受け入れられる』ということである。

つまりそこには、『既存の考え方』と同時に『既存の考え方に従う人々』・・・つまりは『既存の権威』があるのである。
これはある側面から見れば、『既得権益を持つ人々』がいることと同義であるかもしれない。

しかし、これは実は自然科学という分野においては意外に思える。

何故ならば、自然科学の分野では人がどう思うということではなく、“何が正しいのか?”によって物事が決まるというように想像されるからである。
特に象牙の塔とは縁がない一般人にとってはそう思える。

だが、自然科学の分野においても、“正しいこと”が“正しいこととして決まる”わけではない。

“正しいと認められること”が“正しいこととして『決められる』”のである。

絶対的で超越的な存在が決めるのであれば別であろうが、やはり決めるのは人間なのだ。

つまり、どんなに正しいと思われることであっても、人間の主観が入ることを許す。

人間の主観が入れば、それは『絶対的に正しいもの』ではなくなる。


自然科学の発展が、正にこの『人間の主観』と『絶対的な正しさ』の闘いであったことが、本書を通じて読み取れるのである。


ビッグバン宇宙論 (上)
ビッグバン宇宙論 (上)
著:サイモン・シン


ビッグバン宇宙論 (下)
ビッグバン宇宙論 (下)
著:サイモン・シン



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ビッグバン宇宙論も、科学にまつわる人類とその歴史を作ってきた偉人達の物語をドラマチックに描いている。

このブログではまだ紹介していないが、サイモン・シンの著書としては他に『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』という書籍もあって、数学(それも数論)のイメージがあったので、最先端の物理学と天文学が交錯するビッグバン宇宙論というのは少し意外な気がした。

しかしながら、またしても難解な理論や科学的な論証を、万人に分かり易く、且つ万人を虜にするようなストーリー展開で伝えてくれる。

現代の日に生きる我々のほとんどにとって、宇宙の始まりに関するビッグバン宇宙論とは、現実の生活には全く関係の無い事柄で、想像上のストーリーであるように思われる。

遠い過去の人々にとって宇宙の始まりとは、現代の我々と同様に実生活には関係の無い話であったであろうが、天地創造と神、宗教という点においては何よりも実生活に関わりの深いものであったのかもしれない。

特に現代科学の基礎を築き上げて来た哲学、科学の先人達は、『はじめに神は・・・』の世界観を初めとした『超越者の存在』を定義することにより為された世界観の構築からの脱却を成し遂げてきた。

その間には宗教上の教義により捉えられたり、殺害されたりした人々も多々居たであろうし、この過程-天地創造からの脱却-は、現代からは想像することができない程の途方もない出来事であっただろう。

そのような途方もない偉業を、理論と実践(実験や観察による証明)によって達成し、最新の理論を構築していくドラマ、そして天才達が人と人として織りなすドラマが展開される。

フェルマーの最終定理と同じように、何よりも面白いのは、人類史上空前の大発見や大理論が構築されていく過程における、人間の活躍と苦悩、天才も“我々と同じ”人間なのであるという感覚なのである。


暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
暗号解読
―ロゼッタストーンから量子暗号まで

著:サイモン シン


ビッグバン宇宙論 (上)
ビッグバン宇宙論 (上)
著:サイモン・シン


ビッグバン宇宙論 (下)
ビッグバン宇宙論 (下)
著:サイモン・シン





フェルマーの最終定理』に引き続き、

サイモン・シン
ビッグバン宇宙論(上・下)

を読みました。

こちらも知的好奇心をくすぐる、非常に興味深いノンフィクションでした。

これもまた何回かに分けてコメント書きたいと思います。


ビッグバン宇宙論 (上)
ビッグバン宇宙論 (上)
著:サイモン・シン


ビッグバン宇宙論 (下)
ビッグバン宇宙論 (下)
著:サイモン・シン





フェルマーの最終定理を読み終えて、

『成し遂げる人には信念がある』

という、言ってみれば当たり前のようであっても、実行するには当に難しいことが改めて感じられたように思う。


書の中で志村五郎が『良さ(goodness)の哲学を持っている』と語っている。

この『良さ』とは、自分自身の美意識から生まれたものである、全ての数学者は自分自身の美意識に照らして考えているのだ、と。


この『良さの哲学』こそが書に登場する数多くの天才達の共通した意識、ある意味天才が持ち得る無意識なのかもしれない。


フェルマーの最終定理が証明されるまでの360年間にコンピューターが発達し、証明そのものが為されずとも、総当たりの力ずくで証明をしてしまう所謂『シリコンによる証明』も増えてきているようだ。

シリコンによる証明が悪いわけではないだろうし、それを実行するためにも理論が必要であることは理解できる。

しかしながら私個人としては、『良さを実感できるような証明』が今後も数学を発展する基礎を築くものであると信じている。


歴史を作ってきた偉人達の所業を振り返る機会に浴するにつれ、当に世界は美しく作られているのだと考えるからである。


フェルマーの最終定理(了)


フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理
―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

著:サイモン シン


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理
(新潮文庫)

著:サイモン シン





フェルマーの最終定理』というでは、その2にて言及した、日人の功績がきちんと描かれている。

谷山・志村予想』と言われる、極めて重大な数学上の予想を提案した、谷山豊(たにやまとよ)、志村五郎の二人の若き数学者の活躍と悲劇が相当の紙面を以て記述されている。
谷山は偉大な数学者となる資質を持ちながら、31歳という若さで命を絶ってしまうが、それもまたフェルマーの最終定理を取り巻くドラマのひとつとなっている。

編では、志村へのインタビューを含め、非常に丁寧にこの二人の業績を記しており、正当な評価を与えているように思える。
勿論、数学の専門家ではない私が『日人の目』から言っていることではあるのだが。

それでも、このを読んで、私は日人として二人の業績を心から誇りに思うし、同じように感じる日本人が多くいると思う。

谷山・志村予想とは、『全ての有利楕円曲線モジュラー形式である』というものである。
モジュラー形式は切り替え、交換、鏡映、回転等の数学的変換を行ったとしても対称であるような極めて高い対称性を持つ。(と、言っても一般人である私には正しく想像ができないが(笑))

フェルマーの最終定理が証明されるまでの流れそのものは、Wikipediaなどでも参照することができ、

1.まず、フェルマー予想が偽である(フェルマー方程式が整数解をもつ)と仮定する。
2.この整数解からは、モジュラー形式でない楕円曲線を作ることができる。
3.谷山・志村予想が正しいならば、モジュラー形式でない楕円曲線は存在しない。
4.矛盾が導かれたので、当初の仮定が誤っていることとなる。
5.したがって、フェルマー予想は真である。

という流れとなる。

この中で、谷山・志村予想とは『全ての楕円曲線モジュラーである』という予想であり、フェルマーの最終定理を証明するためのキーとなる理論であった。
更に、この谷山・志村予想フェルマーの最終定理の証明に留まらず、本来はもっと大きな数学の大発展に寄与する理論である。

この辺りの内容は、私のような一般人が『フェルマーの最終定理というパズルが最初にあって、それを解くために何が為されたのか?』と考えることとは順番が違うため、数学の歴史を変えるほどのインパクトのあるものが関わってくると想像することは不可能だ。

しかしながらこの本ではフェルマーの最終定理を軸に、数学の歴史、時代の趨勢、天才達のドラマ、それらが全て極めて上手く融合されているため、その偉大さを数学的な根拠を理論的に知ることができなくとも“感じる”ことができるようになっている。

これは本当に一流のエンターテインメントに昇華することに成功していると思う。
これはこの本がBBCのドキュメンタリーを元に書き下ろされたということも影響しているのであろう。

さらに、繰り返しになるが、そこに日本人の大活躍が加わるのであるから、面白くないはずがない。

エンターテインメントという意味では、ブームを巻き起こしたダ・ヴィンチ・コードのように、大量の蘊蓄(それもタブーとされていることの)をジェットコースターのような勢いの物語(フィクション)に載せて疾走させるというアプローチとは、全く異なる。


フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理
ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
著:サイモン シン


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理
(新潮文庫)

著:サイモン シン


ダ・ヴィンチ・コード 上・中・下巻 3冊セット
ダ・ヴィンチ・コード
上・中・下巻 3冊セット

著:ダン・ブラウン





サイモン・シンが描いた、フェルマーの最終定理では、数学の歴史を作り出した偉人達の実に人間くさい面も表現されている。

歴史を生きた天才達の人間くさい人生を垣間見ると、『やっぱり天才も人間だよな』と安心してしまうところもある。

歴史に名を残す発見や発明を果たした人物が、その発見や発明に比べれば些細な(と思えるような)事柄で思い悩み、命すらも落としてしまうこともある。

ピュタゴラスが数の美しさへの自らの信念のために弟子を殺してしまうエピソードや、無邪気さと傲慢さと絶世の天才により若くして決闘で命を落とすガロアのエピソードなどは、数学を眠い目を擦りながら机の上で数字を眺めるものだと考えている、多くの人々にとっては非常に興味深い対象になる。
何故なら、遠くの天才を人間として身近に感じることができるからである。
そして、自分たちと歴史上の天才達は何が違うのだろう?と思いを馳せると、わずかな好奇心の差(積み上がることにより大きな差になるが)なのかもしれないとも思う。
エジソンに言わせれば、それに加えて1%の天才が無ければ、どんなに好奇心があっても、どんなに努力しても成功することはないのだろうけれども。

これら人間のドラマを包含し、いやこれらドラマによって組み立てられ、フェルマーの最終定理が証明されていく歴史を描き出している。
(また、歴史上の出来事、革命や戦争によって運命を翻弄された天才達、その裏では才能を開花させることすらできずにこのドラマに加われなかった隠れた天才達もいたに違いない。)


読んだをネタに、つれづれなるままに書いているので、長くなっているのはご容赦を。


フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理
ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
著:サイモン シン


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理
(新潮文庫)

著:サイモン シン





そう言えば、

ふいんき(何故か変換できない

っていうネタがどこかにあったなー、なんて思い出してしまった本があったりしました(笑)


日本文学ふいんき語り
著:麻野 一哉、飯田 和敏、米光 一成
双葉社:ISBN 4575298611


なんとなくネタを(笑)

日本文学ふいんき語り

日本文学ふいんき語り
著:麻野 一哉 , 他





フェルマーの最終定理が解かれるまでには360年の時が掛かった。

つまり、360年分のドラマがあったのだ。

さらに言えば、フェルマーがこの命題

xn + yn = zn
この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。


を問うまでには、紀元前六世紀から続く哲学から数学の進歩があったのだ。

ちなみにピエール・ド・フェルマーは1601年に生まれているが、1600年と言えば、ご存じの通り日では関ヶ原の戦いが行われていた年である。

これまでにどれほどのドラマがあったのかは想像するに難くない。

そんな好奇心に後押しされて、私はサイモン・シンフェルマーの最終定理を購入した。

さて、この命題が解かれるまでのドラマの面白さ、驚きは、是非手に取って読んでいただきたいというところなのであるが、それ以上に、素直に『手に取って読んでいただきたい』と言えるところが驚異的だ。

何故なら、相手は『フェルマーの最終定理』なのだから。
360年間、歴史上の大天才が解けなかった問題なのだから。

それを扱った書籍を素直に『読んでいただきたい』と言えてしまう。

これこそがこのの凄さであるとも思う。

つまり、恐ろしく難解であるはずのテーマを万人が理解できるように、その背景を分かり易く、しかし陳腐にならないように丁寧に描ききっているのである。
当然のことながら、フェルマーの最終定理の証明そのものが万人に分かるように書かれているということはないが、専門家でない人間がその“当の意味”を知りながら理解することができるものだと思う。

さらには恐らく欧米ではフェルマーの最終定理の名前と共にはほとんど言及されることのない偉大な日本人数学者達の物語も、きちんと漏らさず、その業績の大きさを正当に評価された上で取り扱われていることが日人に是非読んでいただきたいと思うところでもある。


フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
フェルマーの最終定理
ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
著:サイモン シン


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
フェルマーの最終定理
(新潮文庫)

著:サイモン シン












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